割安株を判断する指標としてPERとPBRがあります。
うわっ・・・PERとPBR・・・
意味が分からなくて、投資初心者を苦しめるやつだ。
PERは前回の記事でやったよね?
そういえば(笑)
え~と、株価収益率・・・だっけ。
株価と1株利益で割高かどうかを判断するやつだよね?
そのとおり!
PBRも割高かどうかを判断する指標だよ
なるほど。
でも、そもそもPERとPBRは何が違うのさ?
前回記事でPERをもとに割高株をつかまない方法を説明しましたが、今回はその続編!PBRについてです。
⇒前回記事「PERで割高株・割安株を判断!割安時に投資してリターンを上げよう」
PERと併せてPBRを活用すると、より正確に割安株を見つけられるようになります。
前回につづき投資初心者の方に参考になりますので、ぜひ見ていってください。
PERと併せた活用方法がわかります
PBRとは
PBRとは
PBR(ピー・ビー・アール)は株価純資産倍率と呼ばれ、「株価÷1株当たりの純資産」で算出されます。
「現在の株価」が、1株あたりの「企業が解散した際に株主が受け取れる資産」の何倍かを表しています。
PBRはかんたんに言うと、
「お金(資産)を持っている割には株価が低いよね」(=割安)、「お金(資産)を持っていない割には株価が高いよね」(=割高)
というのを表したものだよ。
へぇ~、ちなみに上の説明に書いてある、企業が解散した時の受け取れる資産って?
企業が解散すると、株主には保有株数に応じた純資産が分配されるんだ。だから解散価値とも言われるよ。
株価じゃなくて純資産ってところがポイントだね。
なるほど。
解散時に株価が1000円でも、1株あたり純資産が900円だったら、900円が戻ってくるってことか。
そのとおり。
この考えが割安、割高につながっていくよ。
PBRを使った割高株の見分け方(初級編)
さっきの例だけど。
企業が解散する時、株価が1000円でも、1株あたり純資産が900円だったら、900円だけが戻ってくるじゃん?
これって株価からみたら損してるように見えるけど、逆に言うと株価が高かったって見方もできるよね?
そのとおり。
その例だと割高になるね。
この場合のPBRは1000÷900で1.1倍。
PBRは1.0倍を上回れば割高と判断できるよ。
PBRでは以下のような判断ができます。
1倍 … 適正(妥当)
1倍より大きい … 割高
たとえば、「株価:1000円」で「1株あたり純資産:1000円」の場合は、企業が解散した場合に分配される純資産は1000円なので、株価とトントンになります。
この場合のPBRは1000(株価)÷1000(1株あたり純資産)で1.0倍です。
この1.0倍がちょうど適正(妥当)なラインであり、これを基準に株価が安いか、高いかで割安度合を判断できます。
PBRを使った割高株の見分け方(応用編)
PBRのレンジ(値幅)で判断
もう少し応用的な確認方法として、PBRのレンジ(値幅)から判断する方法があります。
その企業の過去のPBRレンジと比較して、現在のPBRが高いか低いかを判断します。
PERのレンジから判断する方法と一緒ですね。
PBRレンジの確認方法(例)
花王を例に、PBRレンジの確認方法を説明します。
年度 | PBR高値 | PBR安値 |
2017 | 4.78 | 3.21 |
2018 | 5.56 | 4.15 |
2019 | 5.14 | 4.1 |
2020 | 4.82 | 3.63 |
2021 | 3.93 | 2.8 |
これを見ると、PBRは2.8~5.56のレンジを推移していることがわかります。
<割安・割高の判断>
確認したPBRレンジを見ると、現在のPBRが2.8倍に近ければ(またはそれ以下であれば)割安、5.56倍に近ければ(またはそれ以上であれば)割高となります。
ちなみに2022年7月22日現在のPBRは2.83倍 ※ です。
直近のPBRレンジと比較すると、PBRの観点からは割安と言えますね。
※PBRの算出方法
PBR=株価 ÷ BPS(1株あたり純資産)
=5,843円(2022/7/22時点) ÷ 2063.11円(2021/22時点)
=2.83倍
PERとPBRの活用方法(どんな時にPBRを使ったらいいの?)
PBRの見方は分かったんだけどさ。
割安株を判断するにはPERとPBR、どっちを使ったらいいの?
両方見て判断できるとベストだね。
例えば、僕が少額投資(1株投資)する際は、次のような使い方をしているよ。
①優先的にPERを見る(直近5年程度のPERレンジと比較)
②PERが異常値だったらPBRを見る(直近5年程度のPBRレンジと比較)
PERが異常値ってどういうこと?
PERがマイナスになったり、急に跳ね上がったりすることだよ。
業績が赤字だとPERがマイナスになっちゃうので、PERの数値としては使えなくなるんだ。
また景気に左右されやすい景気敏感株なんかは、急に利益が激減したりするとPERが異様な高さに跳ね上がったりする。これも判断材料として使うのは適切じゃないね。
なるほど。
PERが跳ね上がったものなのかどうかを判断するためにも、過去数年間のレンジを見ておく必要はありそうだね。
そのとおり!
でも、なんでPERが異常値な時に、PBRで判断できるの?
PERは短期的な利益に対しての指標。
だから、景気や社会情勢によって、たまたま利益が出なかっただけかもしれない。
それに対して、PBRは長期的に積み上げてきた資産に対しての指標。
なので、PBRが割安であれば、従来の実績から判断して問題ないと考えられるからだよ。
例えると、
とあるサラリーマンが今年はコロナの関係で収入が激減した場合、今年の収入からはその人の能力が正しく判断できなくなるけど(=PERが異常値)、
今までの収入で貯めた貯金額(資産)からなら判断できる(=PBRで判断)、
ということかな?
まぁ、そんな感じだね。
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まとめ
いかがでしたか?
あらためてPERとPBRを以下に整理します。
[計算式]
株価÷1株あたり純利益(EPS)
[判断基準]
10倍以下 … 割安
15倍程度 … 適正
20倍以上 … 割高
⇒参考:記事「PERで割高株・割安株を判断!割安時に投資してリターンを上げよう」
[計算式]
株価÷1株あたり純資産(BPS)
[判断基準]
1倍より小さい … 割安
1倍 … 適正(妥当)
1倍より大きい … 割高
PERだけでなく、PBRを併せて確認することで、より高い精度で割高株、割安株を判断できるようになります。
また、PER、PBRを見るときは、あわせて直近数年間のレンジと比較することで、判断を確かなものにできます。
投資初心者は、はじめはPER、PBRがなかなか馴染めないと思いますが、繰り返し使うことですぐに定着するので、ぜひ意識して見るようにしてみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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